| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-232
外来種が在来生態系に与える影響を把握するためには、調査研究による外来種自体の生態及び在来生物に与える影響を検証する事が重要である。外来種の一つとして、コモチカワツボという、カワニナの稚貝に酷似したニュージーランド産小型巻貝がいる。本種は爆発的繁殖力を有しており、繁殖地における在来種への影響が懸念される。さらに、発光水生ホタルが本種を捕食できるため、ホタル保護を目的に餌として本種が放流されるケースがある。本種は、在来種カワニナに比べミネラルなどの栄養分が少ないため、餌資源としての価値が低いと言われている。ミネラルはホタルの成長だけでなく、繁殖に必要な発光能力獲得のためにも重要である。そのため、本種を捕食した発光水生ホタルへの生態学的影響が懸念されるが、未だ検証されていない。
本研究では、コモチカワツボを捕食した場合のヘイケボタルの生存に及ぼす影響を、カワニナを捕食した場合と比較検証する事を目的とした。手法は室内飼育実験形式で、コモチカワツボとカワニナの2通りを餌としてヘイケボタルを飼育した場合の、ヘイケボタルの生存率と成長、発光輝度を検証し比較していく。本発表では、ヘイケボタルが未だ幼虫までしか成長していない為、幼虫段階の生存率と成長の比較検証のみの報告とする。