| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-236
洞爺湖では2005年にウチダザリガニ(Pacifastacus leniusculus)の侵入が確認され、2006年から防除活動が開始された.ウチダザリガニが侵入した水域では沈水植物の切断や成長阻害など様々な影響が報告されており,洞爺湖に生息する絶滅危惧ⅠB類のイトイバラモ(Najas yezoensis)やチトセバイカモ(Ranunculus yezoensis),Ⅱ類のササエビモ(Potamogeton gramineus L.)などの希少水生植物への影響も懸念される.
駆除数は2005年の165匹から,2006年1,060匹,2007年8,761匹,2008年10,978匹,2009年43,705匹と推移し,2010年には100,110匹と増加し続けている.これは2009年度より壮瞥町,2010年度から壮瞥町・洞爺湖町の緊急雇用対策での防除活動によって捕獲圧が高まったことによる.しかし,現在の防除体制を継続することは困難であり今後の効果的な防除方法の確立が求められる.
2010年度では,高密度生息地域である温泉街約3㎞を25mメッシュで区切り94地点でカゴ罠による捕獲を実施した.さらにリボンタグを用いた標識調査を実施し移動特性を追求した. 5日間で約1㎞の長距離を移動する個体や殆ど移動しない個体など個体差が顕著に表れた.
本研究では6年間の記録を集約し,個体の拡散や個体数の増加を抑制するための効果的防除手法について検討した.