| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-237
特定外来生物であるオオハンゴンソウ(Rudbeckia laciniata L.)は,その侵入・繁茂が在来植物の生長を阻害すると示されている.しかし実際に,林床植物に対する影響の研究事例は少ない.そこで本研究は,フェノロジーに着目し,森林内に侵入したオオハンゴンソウが林床植物の種組成と開花に及ぼす影響を明らかにする.
オオハンゴンソウが植物の多様性に及ぼす影響を評価するため,植生調査とオオハンゴンソウの生育規模を調べた.調査区は10m×20mを基本とし,無作為に10ヶ所選定した.オオハンゴンソウの生育規模は,調査区内を8ヶ所の方形区に分け,その各中心点1m×1m内のオオハンゴンソウの量を数え,8ヶ所の合計を各調査区内の生育規模とした.その結果,1㎡辺り0本~19本の値を示した.植生調査はオオハンゴンソウの優占度に関わらず,調査区内の出現種を把握するため,調査区内に1m×1mのコドラートを無作為に5個設定し5月~9月まで月1回植生調査を実施した.その結果,オオハンゴンソウの生育規模に関わらず,10ヶ所の調査区で確認された草本の多様性には,有意な関係は認められなかった.しかしフェノロジーに着目した結果,オオハンゴンソウの生長が初期段階では,生育規模に関わらず,他種への開花に及ぼす影響は小さいことが示された.生育規模が1㎡辺り19本の群落になった時,種組成に及ぼす影響は認められないが,生長が進むにつれて他種の開花に影響を示す結果となった.
オオハンゴンソウが他種を排除する機構は,生育が進むことでオオハンゴンソウより地上部の低い植物の光環境を悪化させることだと示唆される.