| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-185

シミュレーションモデルを用いた太平洋クロマグロ管理の評価手法の検討

*市野川 桃子, 竹内 幸夫 (遠洋水研)

水産資源の評価・管理は、個体群動態・水産資源学の理論を応用した学際的な応用科学である。一般的な水産資源の評価・管理は、1)漁業データの収集・解析、2)資源評価モデルによる個体群の数やトレンドの推定、3)推定された資源状態を基に、管理目標達成のための管理方策の策定、という流れで行われる。さらに、管理を行ったあとには、管理の効果を検証するための評価作業が必要である。普通、定期的に行われる資源評価によって、管理の効果の実証が試みられる。

しかし、一般に、野外資源の個体数の絶対値を正確に推定することは困難であることから、資源評価結果に推定誤差が含まれていることを想定して管理方策を策定する必要がある。そのため、現実を模した個体群と漁業の動態をシミュレーションで再現し、そこに管理方策を適用することで、管理方策の評価を行う方法(オペレーティングモデル)が提案されている。

太平洋クロマグロの資源評価・管理においても、個体数の絶対値の推定値が、自然死亡率や漁業の選択率の仮定に大きく左右されることが問題となっており、それらの不確実性に対して頑健な管理目標・方策を探索することが求められている。本研究では、オペレーティングモデルを用いて太平洋クロマグロに適用可能で頑健な管理方策を選択するための手法を検討する。


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