| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-236
北米原産のオオハンゴンソウ(Rudbeckia laciniata L.)は草丈が2m以上にも及ぶキク科多年生草本である。その特徴的な頭状花が好まれることから園芸種として流通し,日本には明治中期以降に導入された。しかし昭和30年代以降,北海道,本州北部を中心に,オオハンゴンソウの雑草化が進行した。この雑草化は,日光など国立公園域において著しく,在来の生態系及び生物相への影響が危惧されたため,いわゆる「外来生物法」において,オオハンゴンソウは特定外来生物に指定された。法制化後,各地で蔓延防止の具体的な施策が講じられ,現在も行政やボランティアによる防除が行われている。しかし,オオハンゴンソウは既に広い範囲に拡大しているために,全個体群に対して同時に効果的な処理を行うことは,物理的にも経済的にも難しく,効果的な対策を実施しつつも,その優先順位を決める必要がある。
そこで本研究では,分布域の拡大に直接寄与する種子散布特性を解析し,分布拡大リスク評価及び防除対象の優先順位評価の一助とすることを目的とした。調査はオオハンゴンソウが侵入する福島県白河市山間部で行った。オオハンゴンソウが雑草化する小水域において,可能な限り全ての個体群の地理的パターンを現地踏査により把握し,そのうち耕作放棄水田,路傍空き地に侵入した複数の個体群内外に種子トラップを設置した。種子トラップで捕捉された種子などは定期的に回収し,それぞれの数を測定した。その結果,(1)一次散布による飛散は2mまで確認されたがその量は限定的である,(2)耕作放棄水田では個体群の中心部と水路側境界で散布量が多く道路側境界では少ない,(3)路傍空き地の個体群は散布量が少ない,などが示唆された。