| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-239

ハイパースペクトルリモートセンシングを用いた侵略的外来種セイタカアワダチソウの密度推定 

*石井潤,鷲谷いづみ(東京大・農)

関東平野の北部に位置する渡良瀬遊水地は、本州以南で最大の面積(約3,300ha)を持つ湿地帯である。ヨシとオギが優占する高茎草本植生には、全国的に絶滅が危惧される植物が60種生育するが、近年ではセイタカアワダチソウの分布拡大が目立つ。現在、その東部に位置する第二調節地(約500 ha)で湿地再生事業が計画されており、2006年度から国土交通省利根川上流河川事務所と東京大学保全生態学研究室により、ヨシ・オギ原に生育する絶滅危惧植物の保全を目的として、絶滅危惧種と侵略的外来種の大規模な分布調査(10 m×10 m方形区を単位として、出現種の個体数を0-8の9段階の順位データとして記録)が行われており、2009年度までに11514方形区(115.14 ha)の調査が終了した。

本研究では、この実分布データをグランドトゥルースデータとして用いて、航空機搭載型ハイパースペクトルリモートセンシングによるセイタカアワダチソウの広域モニタリングの可能性を検討する。解析では、一般化線形モデルを用いて、目的変数をセイタカアワダチソウの個体数の順位データ、説明変数をハイパースペクトルデータ7バンド(青~近赤外色の範囲)の反射値として、AICに基づくモデル選択を行う。11514方形区のうち半分は検証用データとして推定精度の評価に用いる。筆者らは、昨年度第58回大会では、より小規模な現地調査データ(92カ所の5 m×5 m方形区において、セイタカアワダチソウの被度を記録)を用いて、ハイパーリモートセンシングを利用したセイタカアワダチソウの在・不在(被度10%以上を在、10%未満を不在とする)の分布図の作成手法を報告した。この結果と比較しながら、本手法の有効性を検討する。


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