| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(口頭発表) I2-22 (Oral presentation)
都市緑地には実のなる樹があり,哺乳類が利用可能な資源を提供し,近年の都市部への分布拡大に影響していると考えられる.本研究は,過去に里山利用された小規模緑地の果実の有無が哺乳類の観察頻度に季節的な変化をあたえるか検証を試みている.
調査地は鎌倉女子大学大船キャンパスの東山ビオトープ(1.5ha)である.2011年7月に林内2地点に自動撮影カメラを設置し,また複数の樹種の結実を定性的に記録した.
2011年末までに2台のカメラで,それぞれ114,157日間,記録した.撮影間隔が5分以内のデータをのぞき集計すると,タヌキ48,アライグマ10,ハクビシン32,タイワンリス26,ノネコ44回,観察された.また二頭のタヌキが同時に7回観察された.タヌキ,アライグマ,ハクビシンが夜間に,タイワンリスは昼間に観察される傾向があったが,ノネコはほぼ一日を通じて観察された.他の中型哺乳類に比べ,ノネコは頻繁に調査地点を利用していることが示唆された.また 10,11月に堅果類をふくむ結実期に中型哺乳類の観察頻度が高い傾向があり,小規模緑地がこれらの行動圏に影響することが示唆された.引き続き初夏の結実の影響について検証を進めたい.