| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-040J (Poster presentation)

下層植生のササの除去が樹木の空間分布に及ぼす影響

*藤部拓己(北大・環境科学院),原登志彦,隅田明洋,長谷川成明(北大・低温研)

ササが林冠層の樹木に与える影響について調べるため、北海道雨龍研究林の林床にササが密生するダケカンバ林において、1998年に20m×30mのプロットが2つ設置された。一方はプロット内のササが全て刈り取られ、もう一方はササがそのまま残された。樹高1.3m以上の全個体を対象に位置と樹高、胸高直径などが測定され、その後1年に1度個体の生死と各測定項目が記録された。樹高1.3mを超えた個体については新規加入個体として以降、各測定項目が記録されている。同林分は1973年にかき起こしが行われ、その後周囲からの種子によってダケカンバを優占種とする落葉広葉森林群落が形成された2012年で38年生の林分である。同林分においてササとダケカンバの関係を調べた研究ではササの除去により土壌中の窒素や水分が増加し、林冠層のダケカンバの成長が促進されたことが報告されている。

本研究では両プロットにおける1998年以降の樹木の空間分布を解析し、どのような変化が見られるかを調べた。1998年のササ除去区とササ区の個体数はそれぞれ330個体と272個体で、2011年でそれぞれ202個体と195個体であった。ササ除去区では2009-10年の間に36個体の新規加入個体があった。1998年時点の両プロットの空間分布は局所的にわずかな違いはあるが、ほぼ同様のパターンを示した。2005年まで両プロットの空間分布には局所的な違い以外に大きな違いは見られなかったが、2006年から3mから5mのスケールで空間分布の傾向に変化が見られ始めた。2010年にはササ除去区で半径1m程度の集中班の集中の程度が強まったが、これは新規加入個体の影響と考えられた。さらにより細かい空間分布の構造について把握するためサイズクラスごとの空間分布についても解析を行った。


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