| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-115J (Poster presentation)
カメラトラップは簡便で正確に哺乳類相やその分布を把握することのできる方法である.これまでのカメラトラップを用いた研究は,主に調査地の哺乳類相を把握するための調査が一般的であった.したがって,限られたカメラ台数で設置ポイント数をより多くするために1ポイントごとの設置期間が短期間になる傾向があった.本研究では哺乳類相および分布の調査に加え,各種における季節による分布の変化および撮影地点の景観構造の比較することで,哺乳類による河畔林の利用パターンを明らかにすることを目的とした.
調査を北海道十勝地方における一級河川の十勝川と札内川およびそれらの支流である6本の河川(然別川,音更川,士幌川,美生川,帯広川,戸蔦別川)の河畔林において行なった.本調査地内において十勝川は東西に流れており,十勝川の北側に3本,南側に4本(札内川と戸蔦別川は途中で合流)の河川が十勝川に伸びている.カメラトラップ設置地点は各河川沿いに約5km間隔に計37地点設けた.設置地点の景観構造は十勝川の周辺では主に市街地が存在し,十勝川から離れた支流周辺には農耕地が広がっており,その上流は山地と接している.各設置地点にはカメラ(SG565F,HCO)を1台ずつ設置し,調査期間中に設置位置の変更は行なわなかった.撮影した写真から設置地点ごとに撮影された日時および種を集計し,ArcGIS(Esri社製)を用いて各種の撮影頻度,分布および設置地点の周辺環境について検証する.このうち,本発表では撮影頻度の多かったキタキツネVulpes vulpesおよびエゾシカCervus nipponの2011年6月から2012年1月までのデータを用いて議論する.