| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-311J (Poster presentation)
ナラ類の集団枯死被害であるナラ枯れが各地で進行中である。滋賀県でも1980年前後から福井県境付近で発生が確認されており、1990年頃から県北部地域でも目立つようになってきた。最近では県北部地域の被害は減少傾向にあるが、県中部地域から県南部地域へと被害の中心が移る傾向にある。龍谷大学瀬田学舎に隣接する森林である「龍谷の森」(約38ha)も例外ではなく、2009年に5個体でナラ枯れ被害が確認され、2010年には龍谷の森全体へと被害が急速に拡大した。本研究ではナラ枯れ集団枯死で形成された林冠ギャップが実生の動態にどのような影響を及ぼすか明らかにする。そして調査結果より植生遷移を推測し、その植生が人間にとって有用であるか判断することを最終的な目的とする。
「龍谷の森」で、コナラの健全木とナラ枯れ被害木の両方を含む地点を調査地とし、20m×30mのコドラートを2か所に設置した。2か所ともに1m×1m(1m2)を1区画とする実生調査区を15mのライン状に設置し、それを囲むように5m×20mの低木層の調査区を設置した。高木層調査区、低木層調査区内では毎木調査と樹冠投影図の作成を行った。実生調査区内では出現した木本類の全ての実生を、当年生と一年生以上に区別し、樹種を識別し、樹高を測定した。また、2011年6月~11月までの期間に1カ月ごとに実生の生存個体数と枯死個体数を記録した。さらに、環境要因として相対照度、土壌水分、地温の測定を実生調査区内で行った。実生発生個体数と環境要因の関係や残存率と環境要因の関係について解析した。