| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-316J (Poster presentation)

鳥種による影響の違いを考慮した風車設置エリア検討の試み

*北村亘, 竹内亨(電中研・生物環境)

近年、風力発電施設に鳥類が衝突する問題が顕在化してきている。衝突数を低減させるためには、野鳥が多く集結する場所や渡りルートとなる場所などを避け、適切な立地場所選択を行う必要があると提言されてきた。しかし一方で、他の種と比較して衝突しやすい種がいるなど、風車に対する影響が種ごとに異なることも示唆されてきた。このような状況下では、多くの鳥類が利用する場所を避けるだけでなく、風車による影響を受けやすい種が多く利用する場所を避けて、風力発電施設を建設する必要がある。海外では影響の受けやすい種の生息分布で重み付けをした衝突リスクマップが作成され、風力発電所の建設場所を検討する際に有効な情報として利用されてきた。しかし、日本ではいまだにこのような試みは行われてきていない。そこで本研究では、国内において鳥種による影響の違いを考慮した衝突リスクマップを作成することを目的とした。このために、まず、環境省が実施した鳥類繁殖分布調査によって国内での繁殖が認められている鳥類の2次メッシュ単位での分布情報から鳥類の多様性の高いマップを作成した。これに加えて、国内外の鳥種による衝突率の違いなどの情報をもとに、衝突による影響の受けやすさを種ごとにランク分けし、影響の受けやすさで重み付けをしたマップも作製し、比較を行った。本研究で提案した重み付けをした衝突リスクマップは、風力発電所設置エリアの検討する際に、鳥類への影響の小さい場所を事前に把握することに役立ち、戦略的環境アセスメントへの将来の応用が期待できる。


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