| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-319J (Poster presentation)

里山におけるニホンミツバチコロニーの季節的発達と花資源利用

*藤原愛弓(東京大・農), 西廣淳(東京大・農),鷲谷いづみ(東京大・農)

岩手県一関市内のフロラが豊富な里山において、ニホンミツバチを用いた生態系サービスの評価手法の確立に向けた基礎的調査を実施した。定期的な野外調査によりニホンミツバチによる花資源利用の季節的パターンを把握するとともに、野生のコロニーを誘引・営巣させた巣箱を用いて、コロニーの発達に伴う外勤活動量(帰巣蜂数)を測定した。

巣箱の設置地点を中心とする半径約2㎞を調査範囲に、多くの開花植物種を観察できるようにセンサスルート(約32km)を設定し、4月下旬~11月上旬に原則として1~2週間に一度の頻度で約8~10時間をかけて、ニホンミツバチが利用可能な植物の開花状況と訪花を記録した。調査期間を通じて39種の植物への訪花が認められ、1種の植物あたりの利用期間は、開花状況に応じて短いもので数日、長いものは1か月以上に及んだ。4~6月はハウチワカエデ、オオモミジ、7~9月はウメモドキ、タラノキなど多くの利用可能植物の開花(以下、開花)が観察されたのに対し、10~11月には開花種数・量ともに減少した。

巣箱12個を4月に設置し、7月までに3コロニーを営巣させ、さらに8月に一関市街地で保護した1コロニーを加えて設置した。7月~11月の期間の39日にわたり合計約250時間、巣箱における単位時間当たりの外勤蜂の帰巣数を測定した。その結果、月ごとののべ帰巣数は野外で開花量や訪花が多く観察された7月、9月に多かったが、開花量が多かったにも関わらず8月には一旦減少し、開花が減少した10、11月には9月の半数以下に減少する季節変動が見られた。また花粉団子を持った蜂の帰巣数の日内変動は、ピークが午前か午後の1回のみ出現する場合や午前と午後に二回出現する場合が認められた。これらの日内変動パターンは観察した4コロニー間で同調する傾向にあった。


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