| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-329J (Poster presentation)

酸性化海水と高水温の複合ストレスがコユビミドリイシと共生藻に与える影響

*大木駿(琉大・瀬底実験所),田中泰章(琉大・瀬底実験所),鈴木淳(産総研),中村崇(琉大・理),酒井一彦(琉大・瀬底実験所)

近年、大気中の二酸化炭素濃度上昇に伴う地球温暖化が注目されているが、地球温暖化に並ぶ環境問題として海洋酸性化があげられる。大気中の二酸化炭素の増加に伴って、海水中に溶け込む二酸化炭素量が増加するため、海水中のpCO2も上昇する。pCO2の上昇は炭酸系の平衡を移動させ、海水のpH低下を引き起こす。IPCC第4次評価報告書(IPCC,2007)の中には様々なシナリオが作られているが、その中の一つSERSのA2では、平均気温が約3.0℃上昇し、現在約400ppm(約pH 8.0)の大気中の二酸化炭素分圧が約850ppm(約pH 7.7)まで上昇するという予測がされている。これらの環境問題が海洋生態系に影響を与えることが懸念されるが、サンゴに対する複合的なストレスの影響評価はあまり多くはない。

本研究では、気象庁の予測などに使われている、IPCCのSRES A2シナリオに基づいて、2段階のpH条件(pH 7.7、pH 8.0)と3段階の温度条件(27℃、29℃、31℃)を設定して実験を行った。実験には南西諸島で広く見られる造礁サンゴ、コユビミドリイシAcropora digitiferaの枝片を用いて、4週間の飼育実験を行った。水中重量を測定し、酸性化海水と水温の上昇がコユビミドリイシの成長にどのような影響を及ぼすのか評価した。また、光合成活性とクロロフィル量の測定により、共生する褐虫藻への影響を評価した。

キーワード:海洋酸性化・コユビミドリイシ・石灰化・共生藻・白化


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