| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-336J (Poster presentation)

生息地の空間構造が生物の絶滅に与える影響,二次元格子モデルを用いた生息地分断化の解析

*谷川千奏(兵庫県立大・環境人間), 中桐斉之(兵庫県立大・環境人間)

生物の絶滅の主要因の一つとして、生息地破壊が注目されている。最近の研究からは局所的で小さな生息地破壊であっても深刻な影響を及ぼすことが分かっている。これは生息地面積の縮小だけでなく、その空間構造が影響していると想定できる。そこで、この空間構造による影響を調べるために、生息地が破壊されたときの影響について、生息地の分断化に焦点を当てて、2種の生物の存在するモデル生態系を用いて解析を行った。

モデル生態系として、2次元格子上に2種の生物を配置する。この格子上で増殖、捕食、死亡のプロセスを繰り返し、この格子と格子の間に壁をランダムに挿入することによって生息地の繋がりの破壊を実現した(ボンド破壊)。また、壁を連続的に挿入する連続ボンド破壊モデルを構築し、これら二つのモデルを用いて、壁の密度と空間分布を変化させて計算機シミュレーションを行い生息地の分断化の影響を解析した。

シミュレーションの結果、壁の密度が増加して生息地が分断化すると、個体数密度が急激に減少し、絶滅に至ることがわかった。これは、生息地破壊における生息地分断化が、個体群の減少や絶滅に、影響を与えていることを示唆している。生息地破壊における個体群動態の反応は、生息地の面積だけではなく、そのパターンや繋がり(分断化)の影響にも依存す

ることを示唆している.また、同程度の生息地の破壊において、連続ボンド破壊とボンド破壊のモデルを比較した結果も報告する。


日本生態学会