| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-335J (Poster presentation)
2005年の外来生物法施行以降も、特定外来生物オオクチバスの違法放流の事例が各地で相次いでいる。このため、効果的な違法放流防止策が求められる。本研究では、岩手県南部の農業水域を事例として、バスが生息するため池の空間分布パターンを解析すると共に、現在バスが生息しない池を対象として違法放流発生リスクの相対評価を行った。岩手県南部の48箇所のため池における2年間の魚類相モニタリングと行政関係者への聞き取り調査から、過去から現在までのバスの生息分布を把握した。また、ため池内部の環境要因を現地踏査で把握し、池周辺の土地利用をGISによって解析した。ため池におけるバスの在・不在を応答変数、ため池内部の環境要因と周辺の土地利用を説明変数として、二項分布を仮定したGLMによる解析とモデル選択を行った。バスは計25箇所で現在までに生息が確認され、うち9箇所において自治体による駆除が実施された。また、2005年以降の違法放流は少なくとも4例確認された。モデル選択の結果、バスの違法放流に対してコンクリート護岸の被度と標高の2変数が影響要因であることが示され、池への立ち入りやすさ、池の面積、都市部への近さがバスの違法放流に影響する可能性が示唆された。以上の結果を踏まえ、違法放流の空間パターンの特徴について議論した。また、抽出された説明変数について、現在バスが生息しない池32箇所について相対的な順位付けを行うことによってバス違法放流のリスクを推定し、今後の違法放流防止策のあり方について議論を行った。