| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-342J (Poster presentation)
近年,問題となっている外来種の中でも特にオオクチバス Micropterus salmoidesと ブルーギル Lepomis macrochirus による河川やため池の生態系への影響は著しく,両種は特定外来生物に指定されている.本研究では,南大阪の農業用ため池において,両種を捕獲し,胃内容物を調査して食性を明らかにすることを目的とした.調査は,大阪府南部のオオクチバスの生息が確認されたA池と,ブルーギルの生息が確認されたB池の2か所の農業用ため池で行った.2011年4~12月に,オオクチバス,ブルーギルを原則として1カ月に10個体を釣りにより捕獲した.捕獲した個体は殺処理後速やかに持ち帰り,体長,体重などを記録したのち,胃内容物を取り出した.胃内容物中から発見された動物を実態顕微鏡を用いて同定し,個体数とサイズを記録した.その結果,A池で採捕したオオクチバス78個体のうち65個体から胃内容物が得られ,空胃率は7.1%であった.体長は5.8~31.6㎝,体重は3.7~862.6gであった.5~9月に捕獲された個体の胃内容物調査では, 6綱7目19種1,119個体の動物が確認され,そのうち,ミジンコ属が1,008個体で最も多かった.その他は,昆虫は14種93個体,アメリカザリガニが16個体,サカマキガイが2個体などであった.季節別にみると5月はミジンコ属を,9月にはアメンボ亜科を多く捕食するなどの傾向が見られた.ほとんどの動物は水底や水中に生息していると考えられたが,イトトンボ属成虫やクロショウジョウバエの成虫など,水上で生活する昆虫も確認された.B池で捕獲したブルーギル81個体のうち77個体から胃内容物が得られ,空胃率は4.9%であった.採捕したブルーギルの体長は4.5~10.8㎝,体重は2.8~53.6gであった.胃内容物からは,ユスリカやアリ類などの小型の昆虫類が発見された.