| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-351J (Poster presentation)
近年、外来植物の侵入が生物多様性を脅かす大きな問題となっている。外来植物の多くは、撹乱依存性で、陽地性植物である。踏みつけや刈り取りなどの撹乱がある路傍の植生は、特に外来植物の影響が大きいと考えられる。本研究の目的は、光条件や水分条件が異なる路傍植生において、外来植物の侵入の程度と空間構造の差違を明らかにすることである。調査は茨城県常陸大宮市「緒川ふれあいの森」内の路傍植物群集で行った。調査区は2010年に明るい尾根区・暗い谷区、2011年に暗い尾根区・明るい谷区の4ヶ所に設置し、初夏に調査した。各調査区に道路に沿って長さ20 mの線上に、20 cm×20 cmのコドラート100個を連続して設置した。コドラートごとに植物を地際で刈り取り、種ごとに分け乾燥重量を測定した。また各調査区において5 mごと5ヶ所で表層5 cmの土壌の含水率を測定し、10 mごとに全天写真をとり開空率を求めた。
各調査区の植生の種構成の差を比較するために、Bray-Curtisの距離を用いて各調査区内と調査区間でコドラート間の距離を求めた。調査区間よりも調査区内の方で距離が小さくなった。調査区内のコドラート当たりの出現種数は、尾根区(明:3.45 暗:6.97)よりも谷区(暗:17 明:17.3)で多かった。外来植物の出現種数はどの調査区も大差がなかったが、在来植物の種数は調査区によって変化した。コドラート当たりの全バイオマスは、出現種数と同じく谷区の方で多くなった。コドラート当たりの在来植物と外来植物のバイオマスには差がなかった。それは、外来植物(セイタカアワダチソウやシロツメクサなど)は在来植物の影響を受けにくく、どの調査区でも大きなバイオマス量で出現したためと考えられる。