| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-354J (Poster presentation)
ミシシッピアカミミガメTrachemys scripta elegansはアメリカ南部からメキシコ北東部が原産の国外外来種である.本種は通称“ミドリガメ”として1950年代後半から日本へ輸入されるようになり,現在では日本各地で定着が確認されている.幅広い雑食性であることや高い繁殖力をもつことから,在来生物の食害および競合による生態系への影響が懸念されている.しかし,これまでに本種が在来生物に与える影響について報告された例は少なく,正確な分布状況すら把握されていないのが現状である.そこで本研究では,西日本最大の集水域である琵琶湖周辺水域におけるミシシッピアカミミガメの生息状況の把握を目的とし,2011年9月から11月にかけて本種の分布調査を行った.滋賀県琵琶湖に流入する河川,水路,内湖を含む合計93ヶ所で目視および捕獲による分布調査を行なった結果,ミシシッピアカミミガメは16地点(全調査地点中の17.2%)で確認された.在来と思われるニホンイシガメMauremys japonicaとクサガメMauremys reevesiiも確認されたが,生息地点数は,ニホンイシガメ11地点(11.8%),クサガメ4地点(4.3%)とミシシッピアカミミガメよりも少なかった.ミシシッピアカミミガメの生息が確認された地点の多くは,琵琶湖本湖に隣接する内湖や流入河川下流域で,日野川ダム1地点を除いていずれも標高100 m未満であった.また,住宅地やバスフィッシングが盛んな内湖やため池などに多く,オオクチバスとブルーギルが同所的に生息している例が多く見受けられた.本発表では,アカミミガメの生息が確認された地点の周辺環境の特徴から,本種が定着しやすい環境要因について考察する.