| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-358J (Poster presentation)

ウシガエル、ツチガエル幼生のレフュージ利用の違いがコイの捕食に与える影響

*跡部峻史,宮下直(東大・農)

餌生物は捕食者に対し、様々な防御機構をもっており、そうした対捕食者戦略は捕食者ー餌生物系における共進化の過程で獲得されたと考えられる。しかし、形成初期の捕食者ー餌生物系においては、餌生物の防御機構が捕食者に対してはうまく機能せず、捕食者が餌生物の個体群に負の効果を与える可能性が考えられる。

先行研究によると、溜池におけるコイの存在は外来ウシガエルに負、在来ツチガエルに間接的に正の影響を与える傾向が見られた。この結果から、以下の仮説を立てた。(1) 在来ツチガエルの防御機構はコイに対して効果がある。(2) 外来ウシガエルの防御機構はコイに対して効果が小さい。これらの仮説を検証するため、以下の実験を行った。(1) 捕食実験:水槽にコイとウシガエル、またはツチガエルの幼生を各1匹を入れた。ビデオカメラで1時間撮影し、コイによる各種幼生の捕食率と攻撃回数を記録した。(2) 隠れ家実験:半分のスペースに隠れ家として人工水草を設置した水槽にウシガエル、またはツチガエルの幼生を5匹入れた。ビデオカメラで30分間撮影し、1分毎に人工水草に隠れていない個体数を記録した。これらの実験の結果、コイによるウシガエルとツチガエルの幼生の捕食率、及び攻撃回数に差はなかったが、ツチガエル幼生はウシガエル幼生と比べて、隠れ家に留まる確率が高いことが分かった。これらを踏まえて、以下の実験を行った。捕食+隠れ家実験:半分のエリアに人工水草を設置した水槽にコイとウシガエル、またはツチガエルの幼生を各1匹を入れた。ビデオカメラで1時間撮影し、コイによる各種幼生の捕食率を調べた。外来種問題において、進化を背景とした餌生物の対捕食者戦略を考慮することの重要性を明らかにしたい。


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