| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-049J (Poster presentation)
モウソウチク林と隣接する、毎年継続的にタケノコ新竹が伐採されることで地上部の侵入が妨げられた土地において、地下茎がどのような成長を行っているかを実際に林縁部の地下茎を掘り起こし若いものを採集することで調査し、継続的な地上部伐採が地下茎に与える影響を考察した。またそのことから継続的地上部伐採が林縁からのモウソウチク侵入の防止に対してどれだけの効果を持っているかを検証した。その結果モウソウチク林縁から侵入した地下茎は、毎年頂芽が枯死、脱落しており、一年以上の生存している頂芽が存在しないことが分かった。これはタケノコ、新竹の伐採による影響であると考えられた。一方で頂芽が枯死しても側芽が成長して新しい地下茎となり、地下茎の生長は続くことが確認された。しかし地下茎の節間生長量を測定し解析したところ、地下茎生長量は年次が進むにつれ小さくなっていくことが判明した。これは新竹が伐採され新たな養分供給源が存在しないこと、地下茎の片側にしか親竹が存在せず竹林母林とを繋ぐ最初に侵入した地下茎の老化によって竹林母体からの養分供給能力が小さくなっていくこと、等により養分が不足するためと考えられる。地上部の伐採により地下茎の生長は抑えられ続けるため、地下茎の侵入は本来の寿命より前に枯死して終了すると考えられる。この結果から毎年継続的に地上部の伐採を行うことで地下茎の侵入、生長を抑えることが出来、モウソウチクの侵入防止に効果が期待できることが判明した。