| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-050J (Poster presentation)
サイズの異なる種子の発芽に及ぼすR:FR比と変溫の相対的重要性
*夏青青(東北大 院・農)、清和研二(東北大 院・農)
一般に、ギャップなどで更新する先駆性樹木は、高いR:FR比や変溫に応答して発芽する種が多い。しかし、そのどちらにより強く応答しているのかはまだほとんどわかっていない。近年、我々はギャップにおいて、R:FR比と変溫幅が土壌深度にともなって異なったパターンで変化することを見出した。R:FR比は土壌表層だけで高く、少しでも深く埋土されると極端に低下し、一方変溫幅はおだやかに低下した。
したがって、ギャップで確実に発芽し、実生が地上に出現するには、小種子は深い土中で発芽しないように、R:FR比に強く依存し地表面で発芽することが重要である。一方、大種子はR:FR比に依存して発芽すると地中深く埋土された場合発芽できなくなる。深く埋土されても地上に出現できる大種子はむしろ変溫に大きく依存して発芽することがより適応的だと考えられる。
そこで、落葉広葉樹30種を用い、インキュベーターに4段階の光環境(R:FR比:0.0、0.1、0.4、1.0)と2段階の温度条件(変溫幅:20℃、0℃)を組合せた実験系を設定して、種子の発芽パターンを調べた。そして、PIC(Phylogenetic Independent contrast)を用いて、系統的近縁性の影響も調べた。
本日の発表では、実験が終了した数種についての結果を報告する。