| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-093J (Poster presentation)
遺伝子組換え作物から野生植物の遺伝子流動リスクを低減する有力な方法のひとつに、開花期の重複の制御がある。我々はダイズとツルマメを例に開花期の重複を定量的に予測するため、各々の開花期を気象データから予測する研究を行なってきた。つくば市の農環研圃場内にて栽培したダイズ品種、エンレイの開花数の時系列データをガンマ分布で近似した。この近似分布のパーセンタイル点について、気温と日長によって計算される発育指標(DVI)から推定した結果、重複程度の相対比較をするには十分な開花分布の予測ができた。開花の重複程度を制御するには、作付けを行う前に開花期を予測せねばならない。そこで、開花期の年次間の変動を考慮するために、つくば市における過去20年間の気象データを基に、開花期のバラつきを推定した。関東平野で推奨される栽培暦に従えば、エンレイは30-40日で開花に至る。6月初旬から7月の播種であれば、1993年などの極端な冷夏の年以外では、開花に至る期間は概ね変わらない。開花に至る期間は6-7月が低温になると開花が遅れるが、基本的には播種を遅らせるほど開花期も後ろにずれ込むと考えられる。関東でのツルマメの開花期はダイズよりも1ヶ月ほど遅いが、関東平野においては栽培暦に従えば、最も開花が遅い推定となった1993年においても8月中旬には開花は終了し、冷温により、ツルマメの開花も遅れることを考慮すると、ツルマメと開花期が重なる可能性は低いと考えられる。大会ではツルマメの開花期についても併せて報告したい。