| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-109J (Poster presentation)
北海道において台風等による大規模な風倒は、低頻度ではあるが主要な森林の自然撹乱の一つである。1954年の洞爺丸台風によって壊滅的な被害を受けた北海道苫小牧市の樽前山山麓の風倒跡地において、4m×40mのベルトトランセクト2本を十文字状に設置し、1957年から2011年にかけて5-13年ごとに更新状況を調査した。試験地は、風倒前は原生的な針葉樹林であり林床にササは生育しておらず、風倒木処理が行われた。
1957年時に樹高10cm以上かつ2m以下であった個体を対象に2011年までの針葉樹3種の生存過程を見ると、生存率はアカエゾマツ19.2%、トドマツ14.7%、エゾマツ0%であり、エゾマツは撹乱後約30年が経過した1980年代半ば以降急速に個体数を減少させた。また、これらの生存時間には初期の樹高がプラス、局所的な稚樹密度および自身より大きな個体密度がマイナスに影響している傾向を示し、更新初期に大きな個体が生存に有利であること、より競争が起こりやすい稚樹密度の高い所で死亡リスクが高まると考えられた。
2011年時点の林況は、最大樹高は14.9mで、樹高分布を見るとアカエゾマツおよびトドマツは林冠層〜下層に生育するがアカエゾマツは林冠層にモードを示したのに対し、トドマツは種子生産が近年開始され更新実生・稚樹が多いため下層でモードを示した。また、エゾマツは下層、広葉樹は中〜下層に生育していた。樹高1.3m以上の胸高断面積合計は40.1cm/m2でトドマツが66.9%、アカエゾマツ16.9%、広葉樹が16.0%、エゾマツは0.2%を占めていた。