| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-319J (Poster presentation)
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴う津波により、東京電力福島第一原子力発電所は壊滅的な被害を受け、放射性物質の放出を伴う原子力事故が発生した。放射性物質の中でも特にセシウム(Cs)137やストロンチウム(Sr)90は半減期が長く、汚染は長期にわたる問題となる。植物を用いた環境修復技術であるファイトレメディエーションに適した種を見出すため、植物体中の放射性Csの放射能の測定を行った。本発表では草本植物の種によるCs集積特性について報告する。
【材料と方法】2011年5月から10月にかけて福島県内に自生する植物および土壌を採取し、高純度ゲルマニウム半導体検出器を用いたγ線スペクトロメトリーにより放射性核種の分析を行った。また、一部の植物試料は硝酸による湿式分解後、PIXE法により元素分析を行った。
【結果と考察】ヒマワリ、ドクダミ、セイヨウノコギリソウ、コアカザなどでCsを高濃度に集積する個体が見られた。また、ドクダミ、コアカザなどでは高い移行係数を持つ個体が見られた。同一種であっても採取地点により移行係数が異なることから、土壌の種類や性質などが影響を与えている可能性がある。分析を行った種全体において、植物体中のCsの放射能と同族のナトリウム(Na)やカリウム(K)濃度との間には相関関係は見られなかった。一方、Sr濃度と同族のカルシウム(Ca)濃度との間には正の相関関係が見られた。