| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(口頭発表) D2-18 (Oral presentation)
鳥・昆虫・クモなどは、より波長の短い紫外線を認識できることが分かっている。どのような世界を見ているのかを知るために、いろいろな生物の近紫外線写真を撮影した。
白い花はあまり紫外線を反射しないが、多くの黄色い花は強く反射する。キンポウゲ科のある黄色い花は、花弁の表層とその下のデンプン層の間隙によって紫外線を反射するという報告(2011.Silvia他)がある。サボテンの花は花弁全体が紫外線を吸収しているものが多い。ウツボカズラの捕虫嚢は紫外線を反射する種が多いが、その反射する種だけに、ウツボカズラに生息するカニグモがいる。草木の実は熟して色が変化しても、ほとんどの種で紫外線反射はあまり変化がなかった。果実の表面に白い酵母菌がつくと、強く紫外線を反射するようになる。紫外線反射は、その果皮に含まれる色素の化学成分によって異なる。
ハチの警戒色である黒色と黄色の縞模様は、紫外線写真でその違いははっきりしない。紫外線とあまり関わりなく、黒色・黄色が警戒色として働いている。昼間活動するクモは黒色と黄色の縞模様が多いが、黄色は紫外線を強く反射した。またクモの隠れ帯は紫外線を強く反射することから、クモの補食者から姿を隠す働きがあると思われる。
構造色と紫外線の関わりについては、鳥・チョウ・クモなどの構造色による波長の短い青色は、紫外線の波長と連続性があり、当然紫外線反射が見られた。構造色で紫外線だけを反射するキチョウ(1972.Ghiradella)の報告があるが、他にもいくつかのシロチョウ科で確認できたので報告する。