| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(口頭発表) E2-22 (Oral presentation)
水の流れは、自然生態系の水生植物の形態および成長過程、分布を規制する主要な要因である。生態系内の静水・流水中の水生植物は、洪水や水位変動による水の流れによって様々な規模のストレスを受ける。本研究では、強さの異なる乱流速度での水生植物のストレスの応答を観察し乱流ストレス耐性を調べ生長の変化を比較した。
実験では、砂10㎏を敷いた57L水槽に水40Lを入れ、栄養塩として5%のホーグランド溶液を加えた。振動格子を用いて水を撹拌し、3種類の強度の等方性乱流を作成し、4週間実験を行った。研究対象としては、沈水植物のホザキノフサモと浮葉植物のアサザとヒシを用いた。分析は、オーキシン(IAA)および酸化酵素活性、クロロフィルなどの関係性を調べ、さらに、細胞壁の糖類をペクチン、へミセルロース、セルロースに分画し定量を行った
アサザとホザキノフサモは、高い乱流速度で植物伸長およびIAA濃度が減少し、そしてIAA oxidaseの増加がみられた。異なる乱流成分における植物伸長とIAA濃度およびIAA酸化酵素活性には密接な関係があることが示唆された。また、Peroxidase、Cytokinin oxidaseの酸化酵素活性はMidle・Highの乱流条件で時間経過につれ増加した。高い乱流速度条件下では3種類の植物の正常な代謝活性が抑制される可能性がある。また、浮葉植物は水中に生育する沈水植物よりも乱流ストレスに対処する戦略を有することが示唆された。