| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(口頭発表) J2-22 (Oral presentation)
針葉樹人工林内は植生が単調で、野生動物の餌資源となる植物が少ないため、野生動物の生息地としては低質であるとこれまで考えられてきた。しかし、多雪地に生息するニホンザルは、冬期に若齢スギ人工林を採食場所や休息場所、および移動経路として積極的に利用していることが、発表者らの研究で明らかとなった(Sakamaki & Enari 2012. Forest Ecology and Management, 270:19-24)。そこで、本発表では、夏期および秋期を対象に、冷温帯多雪地である白神山地におけるスギ人工林を利用する哺乳類相を、自動撮影カメラを用いて評価した。評価対象の哺乳類は、ホンドタヌキ、ホンドテン、トウホクノウサギ、ニホンザル、ニホンカモシカ、ツキノワグマとした。2012年6月から同10月下旬まで、若齢スギ人工林(林齢40年未満)および壮齢スギ人工林(林齢40年以上)、広葉樹一次林および広葉樹二次林において、各林分に3か所ずつ合計12か所の調査区を設定し、各調査区に3台ずつ合計36台の自動撮影カメラを設置した。その結果、総撮影枚数は1082枚、有効撮影枚数は270枚となり、ツキノワグマおよびニホンカモシカの撮影頻度が多かった。これらの結果を用いて、本発表では各林分の哺乳類相を、特にスギ人工林に着目して紹介する。