| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-179 (Poster presentation)

Tribolium類におけるWolbachia感染の実態

*角拓人(岡大院・環境生命),三浦一芸(近中四農研セ),宮竹貴久(岡大院・環境生命)

Wolbachiaは陸生の節足動物に広く感染する細胞内共生細菌である(Werren, 1997)。そのうち,昆虫類ではおよそ66%が感染すると推定されている(Hilgenboecker et al. 2008)。このようなユビキタスな微生物の感染動態を理解することは重要である。Tribolium類では,ヒラタコクヌストモドキ(Tribolium confusum)が細胞質不和合を示し(Wade & Chang,1995),Tribolium madensがオス殺しを示す(Fialho & Stevens, 2000)ことが明らかとなっている。ホストに対する繁殖制御能力の異なるこの2種のWolbachiaだが,wspftsZの両遺伝子間で変異が殆ど無いことがわかっている(Fialho & Stevens, 2000)。さらに,ヒラタコクヌストモドキは1種のWolbachiaにしか感染していないと報告されている(Kageyama et al., 2010; Fialho & Stevens, 2000)が,当研究室で維持している採集地・採集時期の異なる4系統のヒラタコクヌストモドキでは少なくとも2種以上のWolbachiaへの感染が示唆された。また,昆虫種によってはWolbachiaの体内における存在濃度が系統ごとに異なることが報告されている(Mouton et al., 2007)。ヒラタコクヌストモドキの各系統において,Wolbachiaの体内存在量が異なるのか,またその差によって行動や生活史形質に違いが出るのかについても発表する予定である。


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