| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-279 (Poster presentation)
多くの生物は、自らが捕食されるリスクの下で、採餌行動をとらなくてはならない。本研究では、簡単なモデルを作成し、変動する環境が採餌行動にどのように影響を与えるのか数学的に解析する。今日まで、生活史では算術平均が大きな役割を持っているとされてきた。しかし、環境が変動する条件の下では、幾何平均から導かれる幾何平均適応度が大きな意味を持つことが知られている。そこで本稿では幾何平均を考慮に入れながら環境がどのように採餌行動戦略に影響を与えるのかを検証する。「食料は無いが安全な巣」と「食料がある捕食の危険がある巣の外」が存在し、巣の外の餌量と捕食者が変動する場合の最適採餌行動時間を求めた。結果は、採餌行動における算術平均・幾何平均両方の適応度から導かれる最適戦略が、従来の餌量、捕食者数だけでなく、環境の発生確率によっても大きく振る舞いを変えることが分かった。そして、採餌行動においては幾何平均最適採餌時間が算術平均最適採餌時間よりも短くなることが非常に一般的であり、強いことが確認されたうえで、その逆は弱くはあるが環境の条件次第で見られることが分かった。