| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-287 (Poster presentation)
文化は,古典的には「非遺伝的手段を用いて伝達される情報」として定義され,ヒトの特異性として挙げられることも多い.集団中の遺伝的構成の時間変化を進化とよぶが,これになぞらえて,集団中の文化的構成の時間変化を文化進化とよぶ.文化進化の理論は1980年代に定式化されて以来,現在まで人類学を中心に,文化の多様性とそれを生み出す認知バイアスの理解に大きく貢献してきた.
情報伝達は構造によって規定される.構造には,空間的なもの,社会的なもの,文化的なものなどがある.このような構造による情報伝達の局所化は,文化の多様化を促したり,大域的なパターンを生み出すこともある.様々な文化の分布パターンが何によって決定されているか理解することは,人類学の中心課題のひとつである.
本発表では,日本における様々な文化形質の分布が,方言の類似度,空間的近接性,環境要因のいずれによって決定されているかを自己回帰の手法を使って解析した結果について報告する.