| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-292 (Poster presentation)

動物搭載型記録計から明らかになったオオミズナギドリの飛翔特性

*米原善成,塩見こずえ,佐藤克文(東大・大海研)

オオミズナギドリ (Calonectris leucomelas) は東アジアで繁殖するミズナギドリ目の海鳥である。これまでの研究から、胃内容物にカタクチイワシが多く見られる一方で、採餌旅行中に1mを超える潜水は稀であることがわかっている。また、ミズナギドリ目海鳥はアスペクト比が高く、滑空に適した翼を持ち、飛び立ちは苦手であると一般的にみなされている。そのため、海面に浮かびながら水面直下の餌をついばむように捕らえていると考えられてきたが、実際にどのように餌となる魚群にアプローチし捕獲しているのかは知られていない。

そこで、本研究ではオオミズナギドリがどのように採餌を行っているのかを調べるために、2012年8月~9月に岩手県船越大島において、育雛中の成鳥10羽に動物搭載型ビデオカメラ (18g、径20×26mm、長さ52mm) を装着し、再捕獲して装置を回収した8羽から映像記録を得た。他に、本種の採餌旅行中の行動を調べるために、動物搭載型記録計 (8.6g、径12㎜、長さ46㎜) を15羽に装着し、11羽から3軸の加速度と深度記録を得た。その結果、1個体から採餌中の映像が得られた。この個体は、空中から直接水中に飛び込み、浅い潜水によって水中の魚群を確認し、すぐに飛び立ち数秒の短い飛翔によって逃げる魚群を追跡した後、再び潜水することを繰り返し、表層を泳ぐカタクチイワシを捕らえていた。また、加速度と深度データにおいても、潜水と飛翔が繰り返される様子が記録されており、7Hz以上の高周波で羽ばたいて海面から離陸することがわかった。これらのことから、オオミズナギドリの離陸能力は従来考えられてきたように低くはないことが示唆された。


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