| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-330 (Poster presentation)

東京都町田市の里山におけるニホンアカガエルとトウキョウダルマガエルの餌資源利用について

八木愛(麻布大院・獣)・福山欣司(慶応大・生物)・戸金大(明治学院大)・高槻成紀(麻布大院・獣)

谷津田と雑木林が隣接する里山はカエル類にとって重要な生息地であり、しばしば複数種が生息する。複数種のカエルの資源分割を解明するために、東京都町田市の里山でニホンアカガエル(以下、アカ)とトウキョウダルマガエル(以下、ダルマ)の食性を2010年と2011年の2年間調べた。また、アカとダルマの捕獲地点から生息地利用についても調べた。2011年には餌資源に対する選択性をみるために、餌供給量を掃除機とスウィーピング法で小動物を採集し、餌資源供給量を調べた。アカはおもに草地と林縁、ダルマは水環境を利用していた。食性は、アカもダルマもクモ、鱗翅目幼虫をよく利用していたが、食性の類似性は、2010年も2011年も0.4〜0.6で違いが大きいことがわかった。両者の食性のおもな違いは、アメンボやエビ・カニ類といった水生生物がダルマのみから出現し、アカではミミズやムカデ類、ヨコエビといった土壌動物の割合が大きかったことである。また、ダルマはアリを多く食べていたが、アカはアリを忌避した。こうした違いは、アカは餌動物を探して動くが、ダルマは餌を待ち伏せして、目の前に現れた餌動物をなんでも食べる傾向が強いためと考えられる。アカとダルマは同じ里山内でもミクロハビタットを違えることで、異なる餌資源を利用していると考えられ、異なる環境が隣接している里山は、この2種の共存を可能としていると考えた。


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