| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-176 (Poster presentation)
ホシガラスは秋にハイマツやゴヨウマツなどの樹木の実を貯食する。貯食した実は翌年の夏期まで利用するほか、雛の食物としても使われていると考えられている。貯食した種子を長期的に利用することから、貯食場所の選定はホシガラスにとってきわめて重要である。演者らはこれまで、富士山北麓の森林限界付近においてホシガラスの貯食行動を調査し、林内、パッチ、パッチエリアの裸地、裸地にゴヨウマツの種子を貯食することを明らかにした。また、貯食した種子が他の動物にどれくらい横取りされるのかを把握するために、林内、パッチ、裸地に種子を埋め、消失率を確かめる実験をおこなった。その結果、林内は10日以内に約90%以上が、パッチは20日以内にすべての種子が持ち去られたが、裸地では70日後まですべての種子が残っていた。しかしながら、種子を横取りする動物については不明であった。どのような動物が種子を横取りするのかを特定することは、ホシガラスの貯食場所の選好性を明らかにする上で重要である。そこで本研究では、貯食した種子を横取りする動物を明らかにすることを目的に、自動撮影カメラを用いた持ち去り実験をおこなった。
実験ではまず、富士山北麓の標高2380m地点の林内、パッチ①、パッチ②、裸地の4箇所に市販の松の実を埋め、消失率を調べた(2012年はゴヨウマツが不作で実験用の種子を十分得られなかったため、松の実を用いた)。つぎに、林内については松の実を埋めた場所に自動撮影カメラを設置した。これらの実験結果から、環境ごとの消失率、貯食した種子を横取りする動物について考察する。