| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-187 (Poster presentation)

ニホンザル高密度地域における10年間での植生の変化

*高橋明子,鈴村崇文(京大WRC),郷もえ(京大霊長研)

宮崎県串間市沖合に位置する幸島は、亜熱帯気候に属し、海岸林やタブノキ・マテバシイ等が優占する常緑広葉樹林などで構成されている。島内約32ha中にニホンザル約110頭が生息しており、個体群密度が高い状態が数十年続いている。本発表では、10年前と現在の植生の状態を比較し、植生の変化と幸島におけるニホンザルの採食選択の傾向との関係を考察したい。

植生調査は2002年、2012年に行われた。幸島全体を25個の100m四方のプロットに分け、さらに各プロット内に15m四方のコドラートを設け、各プロットの代表とした。各コドラートでは、樹高および階層別の植物種ごとの被度を記録し、2002年と2012年のデータを比較した。ただし、二度の植生調査でのコドラートの位置は完全には一致していないため、最近傍のコドラート間での比較を行った。

植生の構成には大きな変化は見られないものの、全体的には種数の増加が見られた。また、自然植生よりも代償植生において変化が大きい傾向にあった。これらの結果と既存研究において報告されているニホンザルの採食選択が、どのように植生の変化に影響を与えたかについて考察する。


日本生態学会