| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-189 (Poster presentation)

飼育試験によるニホンジカの養分要求量の推定

*大竹正剛(静岡県・森林研セ),片山信也,佐藤克昭(静岡県・畜技研),大場孝裕,山田晋也,大橋正孝(静岡県・森林研セ)

静岡県では伊豆・富士地域でニホンジカ(以下、シカ)が増加し,農林産物被害や自然植生衰退が生じていることから,特定鳥獣保護管理計画を策定して対策に取り組んでいる.当面の課題は個体数削減であるが、管理目標を見出す上で、シカと自然植生の関係を定量的に整理する必要がある。そこで、植生量にボトルネックのかかる冬期のメスジカの養分要求量の推定を試みた。シカは、富士山西麓に生息する野生ジカ、及び神奈川県丹沢の飼育ジカを試験に供することとし、3ヶ月以上飼育施設(450m2)にて順化(ヘイキューブ(アルファルファ)を飽食の1割増で給餌、水は自由飲水)した。試験には4頭の成獣メスジカ(39.0-45.5kg)を供し、専用の個飼ゲージにて1ヶ月以上順化させた。ヘイキューブ、アオキ、ササ、枯葉を単味で与え続け、6日目から3日間の飼料摂取量、排糞量を測定した。次にそれぞれの成分分析(エネルギー、CP、NDF、ADF)から消化率を求め、養分要求量を推定した。平均乾物摂取量と乾物消化率は、ヘイキューブ:984.8DMg/day;55.3%、アオキ:812.9DMg/day;65.1%、ササ:866.2DMg/day;57.1%、枯葉:403.5DMg/day;41.4%であった。また吸収したエネルギー量は、ヘイキューブ:9.38MJ/day、アオキ:8.28MJ/day、ササ:8.85MJ/day、枯葉:2.79MJ kcal/dayであった。枯葉は嗜好性が低く、これを除くと、静岡県に生息するニホンジカの冬期の摂取エネルギーは概ね9MJ/dayと推定された。


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