| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-191 (Poster presentation)
花への食害は、植物の繁殖に悪影響を与える。それでは、植物は花食害者に対抗するため、どのような性質を一般的に進化させてきたのだろうか?
これを明らかにするためには、花食害と形質との関係を種間比較・種内比較の両方で調べる必要がある。もし、花食害と形質との関係が種間比較・種内比較で一致するなら、種間で見られる形質の違いは花食害による選択圧によって進化してきた可能性が高いと考えられる。一方、種間比較と種内比較で花食害と形質との関係が一致しない場合、その形質の種間の違いは花食害以外の選択圧によって進化した可能性が高いと考えられる。
本研究では、キク科植物18種を用い、種間比較・種内比較の両方で、5つの頭花の形質(窒素濃度、リン濃度、水分含有率、頭花数、頭花の直径)と頭花の食害率との関係を調べた。
種間比較では頭花の数が多い種ほど食害を受けやすいという関係が見られたが、種内比較では一貫した傾向は見られなかった。この結果は種間では頭花数と食害との間に関係が見られるが、種間の頭花数の違いはポリネーターなどの他の要因によって進化してきたことを示しているのかもしれない。