| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-197 (Poster presentation)

群集レベルでの花弁サイズと訪花頻度の関係:半自然草地の例

丑丸敦史, 栗本大輝,日下石碧(神戸大学)

一般に、花サイズは花の誘因力に影響し、植物集団中では大きな花を咲かせる個体ほどより多くの送粉者を誘引することが知られている。花サイズは種間で大きく異なっている(Davis et al 2008)。ノルウェーのマルハナバチ類が優占する草原群集での研究では、ディスプレイサイズの大きな種により多くの訪花が見られたことが報告されている(Hegland & Totland 2005)。しかし、群集レベルで花のサイズと訪花頻度の関係を調べた研究は、他になくこの発見の一般性は検証されてない。ここでは、日本における半自然草原(里草地)群集において、花弁サイズの増加に伴う訪花数の増加が見られるのか研究を行った。

兵庫県宝塚市西谷地区の水田周囲の里草地に生育する植物種30種を対象に2010-2012年に訪花頻度を調査した。観察前に、1X3m2の調査枠内を設け、その中の花を計数し、15分を基本単位として観察を行った。離散的に分布する種に関してはより広い範囲(1X15~1X100 m2)を対象に調査した。また2012年にそれぞれの種ついて花弁長をデジタルノギスとスライドガラスを用いて測定した。

解析の結果、里草地群集では花弁サイズの大きな種ほど単位時間当たりの訪花頻度が低くなっていたことがわかった。また昆虫の機能群ごとに花弁サイズに対する訪花頻度の関係が異なっていた。ここでは、この結果について議論を行う。


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