| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-226 (Poster presentation)
ニワウルシ(Ailanthus altissima)は、中国原産の落葉高木である。ニワウルシは世界各国でわが国でも、侵略的外来種として在来生態系の脅威となる可能性は十分に考えられる。ニワウルシは実生からの発芽と根から個体を萌芽させる根萌芽の2つの繁殖方法を持つ。本研究では、ニワウルシの分布拡大の可能性を考え、根萌芽特性に着目し、ニワウルシの根萌芽発生のシステムを解き明かすために根と萌芽個体の形態的特徴を調べた。
神奈川県藤沢市の日本大学生物資源科学部構内にある、竹林内でのニワウルシの萌芽個体の毎木調査を行った。また、個体の地下部を掘り、根を露出させると多くの個体の発芽部分がふくらみ楕円球状の塊を形成していたため、その塊の最大部の直径や長さを測定し、その中から更にランダムに選別した塊を解剖し、解剖して形態を観察した。
毎木調査の結果は、樹高、地際直径共にどのデータとも相関を得られなかった。楕円球状の塊の大きさは、発芽個体の材積と発芽痕から見られる萌芽個体の発生本数の2つが共に正の相関を得られた。また、塊の解剖・観察で得られた形態的特徴では、塊が大きくなるに連れて根の髄部も大きくなり、そこから盛んに萌芽していることがわかった。
以上の結果から、ニワウルシは根に髄部の発達した塊を形成しそこから萌芽すると考えられる。塊の多くは地下40cmいないに見つけられたため、塊形成のきっかけは地中の空隙でないかと考えられる。