| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-232 (Poster presentation)

キアシナガバチにおける斑紋パターンの地理的変異と単系統性

*斎藤歩希(立正大学),大久保真由華(茨城大学)

昆虫綱膜翅目アシナガバチ亜科のキアシナガバチ(Polistes rothneyi)はインドからインドネシアなどの東南アジア,日本を含む東アジアまで広く分布している.分布域は汎世界的に分布するアシナガバチ属のなかでも広く,大陸や島嶼において地理的に顕著な色彩の変異が存在することが知られている.これらについては現在までに多くの亜種が設定されている.しかしながら色彩・斑紋の顕著な変異によって,セグロアシナガバチなどの近縁種と誤同定される場合も多く,しばしば分類学的な混乱を招いてきた.さらにその色彩・斑紋の変異パターンが例えば大陸では連続的であるのか,島嶼においてのみ顕著なのかなどについて検討されてこなかった.スズメバチやアシナガバチなど社会性狩蜂の種分類は従来,色彩・斑紋パターンに基づいてきた.しかし,その変異パターンはアシナガバチ属においては一様ではなく,スズメバチ類でも同様のことが報告されている.よって種と対応した色彩・斑紋の変異パターンをとらえるためには,種ごとに分布域を網羅した標本の観察や近縁種等との詳細な比較を行う必要がある.よってまず,近縁種およびキアシナガバチについて成虫の詳細な形態観察およびミトコンドリアCOIや16Sにもとづく分子系統解析を行い,キアシナガバチが単一種として区別できるかを検討した.さらにアジア広域に分布するキアシナガバチおよび近縁種の色彩・変異パターンを地図上にまとめ,変異の地理的連続性等について関連があるか考察を行った.


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