| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-237 (Poster presentation)
生態学の教科書には、食物網の図や生態ピラミッドの図が掲載されている場合が多い。しかし、その時間的スケールや空間的スケールは明示されていないことが多い。食物網図の形や生態ピラミッドの形は時空間スケールで変わるはずである。たとえば、空間スケールが大きくとも、時間スケールが短ければ食物網(連鎖)の上位にある猛禽類等の出現頻度は低くなると考えられる。一方、時間スケールが長くとも、空間スケールが小さければ、やはり栄養段階の上位にある猛禽類等の出現頻度は低下すると考えられる。しかし、生産者である緑色植物は、少なくとも日本のような陸上生態系では時空間スケールが小さくとも出現する頻度は高いと考えられる。また、日本のように四季が存在する生態系では、冬季には大部分の昆虫類や両生類、爬虫類等が冬眠するため、食物網や生態ピラミッドの形は、活動期の春から秋とはかなり異なったものになると思われ、さらに野鳥類の季節的移動の影響もかなり受けると推察される。ここでは、近畿地方の里山等で行った調査から食物網や生態ピラミッドの時空間スケールの違いによる変化について報告し、その意義について考察する。