| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-248 (Poster presentation)
国内には治水や利水を目的とした約2800のダムがあり、ダムの下流域ではダム放流操作に起因して河川生態系が影響を受けていると考えられる。河川生態系に対するダムの影響は、流量の安定化や水温変化、河床材料の粗粒化などさまざまな事例報告がされている。しかし個別ダムに関する研究が多く、一般性を求めるための事例が多いとはいえない。そのため、ダム管理の現場では、生態系への影響を軽減させるためにはどのようなダム操作を行えばよいかなど、対応に苦慮することが多い。
本研究では、ダム上流の流入河川とダム下流の放流河川における水質の違いに着目し、底生動物の変化に直接的な影響を与えているかどうかについて検討を行った。底生動物のデータは、国土交通省または水資源機構が管轄する全国のダムを対象にダム上流と下流で行われている生物調査(河川水辺の国勢調査)の結果を用いた。水質データはダム管理事務所から収集したものを用いた。水生昆虫の分類群数に関する上下流差の傾向分析を行い、上下流差が大きいダムについて底生動物の上下流差と水質との関係についての評価を行った。その結果、EPT属数の上下流差と栄養塩濃度の上下流差には明瞭な関係が見られないことなどが分かった。