| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-301 (Poster presentation)

個体レベルでの採餌の特殊化

角田羊平,京大・理・動物

ある種の動物は,特定の餌動物に特化した採餌を行う.近年,この採餌の特殊化について個体レベルで調べることの重要性が指摘されはじめている.今回,沖縄島に生息するヒメハブの採餌の特殊化について個体に着目した調査を行った.本調査地のヒメハブは主にオキナワアオガエルとヒメアマガエルを餌として利用している.野外調査では個々のヒメハブの時空的出現パタンを2種のカエル類のそれと比較した.室内実験では,2種のカエル類それぞれの匂い刺激に対する嗜好性について個体ごとに比較した.野外調査の結果,個体群としてみればヒメハブの出現時期が1月から6月までの約6ヶ月間に及んでいたのに対し,個々のヒメハブの出現期間は概ね2ヶ月程度であり,出現時期にも個体差がみられた.この個体ごとのヒメハブの季節的な出現パタンは,2種のカエルのうちどちらか1方の季節的出現パタンに対応した2タイプに分けられた.同様に,個々のヒメハブの待ち伏せ場所は,特定の1種のカエルの分布と重なった.さらに,各タイプのヘビは,出現パタンが一致していたカエルの匂い刺激に対してより強い反応を示した.これらの結果から,同所的に生息しているヒメハブの個体は,個体群が利用していた2種のカエルのうちどちらか1方に特化した採餌をおこなっている事が明らかになった.


日本生態学会