| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-407 (Poster presentation)

京丹後市におけるコウノトリとモリアオガエルの誘致による地域活性化

*森豊彦(京大生態研・京丹後市支援員),坪倉国男(京丹後市仲禅寺),野村重嘉(コウノトリネット京丹後)

生き物と共生する地域づくりを推進する目的で、京都府京丹後市網野町仲禅寺(モリアオガエル)と京丹後市久美浜町(コウノトリ)で取り組んでいる地域活性化プロジェクトの現状を報告する。本報告では、①生き物との共生における住民意識の向上、②自然環境保全、③地域と産物の生態的ブランドカの3点に重点をおいた。

(1)モリアオガエル

①産卵池の整備、②生態調査、③自然観察会、④農産物の市販化、⑤地域イベント開催等による広報を重点課題とした。産卵池周辺をエコパーク化するために、樹木ラベル、掲示板等を設置し、自然観察会を実施した。産卵数・幼体数の季節変化、幼体の分散と密度等の生態調査を行った。自然の豊かさのシンボルとしてのモリアオガエル米の市販化を試みた。地域住民の意識向上と地域の宣伝のために、2010年から3回の仲禅寺・生命の里・写真コンサートを開催した。

(2)コウノトリ

①コウノトリネット京丹後の組織化、②生息分布調査・餌付け、③コウノトリの住民登録、④人工巣塔・冬期エサ用の養魚池の造成、⑤農産物の市販化、⑥写真展・インターネットによる広報等を重点課題とした。久美浜町を中心に58名の組織を立ち上げ、広報・人工巣塔設置等を行った。人工巣塔を4基設置し、1基に京都府初の営巣とヒナが誕生した。冬期のエサ不足解消のために、ニジマスの養殖池を造成して、餌付けを行った。「コウノトリ見守り隊」として京丹後市中の生息分布調査を行い、野外個体の分布を把握した。京丹後市へコウノトリの住民登録を申請し、認可された。米・黒豆等の農産物を市販した。

以上の結果により、生き物をシンボルとした地域活性化は、地域住民の意識の向上と経済的活性化を推進する原動力になったと考えられる。


日本生態学会