| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-417 (Poster presentation)

淀川淡水域における魚類相の現状

内藤馨*,石橋亮,金丸善紀,宮下敏夫 大阪府水生生物センター

淀川は天然記念物イタセンパラをはじめ多様な魚類が生息する河川である.当所では1972年から本流域およびワンド域で約10年ごとに魚類相調査を実施し,現状把握に努めてきた.2012年7月から9月にかけて最新の調査を行い,外来魚の減少が見られたので,その概要を報告する.

本流域では18種が確認され,オイカワ22%,コウライニゴイ13.3%,カネヒラ13.2%の順となった.前回調査でオオクチバス,ブルーギル合わせて30%程度を占めていたが,11.9%に減少した.また,ワンド域では29種が確認され,コウライニゴイ18.9%,オオクチバス17.2%,ブルーギル13.9%となり,前回調査でオオクチバス,ブルーギル合わせて約40%を占めていたが,31.1%に減少した。本流域では外来魚駆除は実施していないため,自然減少によるものと考えられる.

外来魚の地曳網1回あたりの平均採取個体数は,オオクチバス(本流域:2004年12.6個体,2012年6.5個体,ワンド域:2004年31.6個体,2012年18.4個体),ブルーギル(本流域:2004年10.2個体,2012年6.5個体,ワンド域:2004年74.3個体,2012年14.8個体)ともに減少した(p<0.01,ANOVA).一方,在来魚の地曳網1回あたりの平均採取種数は,本流域では2004年,2012年ともに4.5種と差はみられなかったが,ワンド域では2004年5.4種,2012年6.6種と増加した(p<0.01,ANOVA).

同じ水域のワンドで,継続して駆除を実施している所,一時駆除を行った所および駆除を実施していない所に分けて比較すると,平均外来魚比率はそれぞれ47.9%,60.5%,67.5%となり,平均採取在来魚種数がそれぞれ7.3種,5.8種,5.3種で,外来魚駆除が多様性の回復維持に一定の効果を示した(p<0.05,U-test).


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