| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-425 (Poster presentation)
GM作物の導入にあたっては,どの程度の交雑や混入が起きるか推定し,基準を超えないように適切な対策を取ることが必要である。景観スケールでGM作物と非GM作物との間に生じる交雑を推定するためには,開花時期や風向・風速などのデータを準備し,高速なコンピュータを用いて複雑なシミュレーション計算を行う必要があり,多大な労力が必要である。そこで本研究では,水稲を対象として地図情報から広域の交雑率を簡便に推定できる指標を考案し,従来のシミュレーション計算結果と比較してその有効性を検証した。
本研究では,以下の二つの指標を検討した。
1) ある地域における全ての水田ほ場一筆毎に,(他の水田ほ場との接線長)/(水田ほ場面積)を算出し,その平均値を求めたもの
2) 地域においてある割合でGM水稲が作付けされたとした場合,GMほ場に隣接した非GMほ場について,(風向とGM・非GMほ場の位置関係についての係数)×(GM圃場と非GM圃場の接線長)/(非GM圃場の面積)を算出し,その平均値を求めたものである。
上記の指標の有効性を検証するために,関東地方の11地区を対象として1/2,500国土基本図から土地利用図を作成し,GM水稲が30%作付けされた場合のシミュレーション計算を行い,二つの指標との相関関係を検討した。その結果,両方の指標で有意な関係が認められた。
これらの指標のうち,前者は地域間で潜在的な交雑の発生について,比較・評価を行う場合に利用できると考えられる。後者の指標は,特定の地域を対象として,GM作付け率や風向が変わる場合,交雑率がどの様に変化するのかを検討するのに有効である。