| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-430 (Poster presentation)
北海道苫小牧市東部に位置するウトナイ湖では、北岸の草原や樹林地において外来生物のオオアワダチソウが進入し、これらが旺盛に繁茂することで、ホザキシモツケ等の在来植物が被圧されている。ウトナイ湖保全対策実行委員会では、ウトナイ湖の在来植生と生態系を保全することを目的として、2009年以降オオアワダチソウの生育分布調査、市民参加によるオオアワダチソウの駆除、防除試験と生育状況調査による効果的な抑制管理手法の検討を行った。
分布調査の結果、オオアワダチソウは約20年間で急激に分布が拡大していたことから、対策が望ましいと考えられる3,900㎡の範囲を設定し、公募型のイベントや小学生の環境学習等により、2009年以降毎年約200人~300人の参加者による駆除を実施した。これとあわせて生育環境(林内・林縁及び草原、日向・日陰)ごとに3種類の異なる処理方法(①地際での刈取、②地上10cm程度での刈取、③根を含む引き抜き)による約2,000㎡の範囲での駆除試験とモニタリングを行った。
市民参加によるオオアワダチソウの駆除では、「③根を含む引き抜き」を主体に行った。作業成果は参加者が作業を熟練することにより年々増加し、3年目では開始時の4倍以上の駆除本数(約83,000本)に達した。
駆除試験の結果、「③根を含む引き抜き」が駆除の効果が最も高く、次いで「②地上10cm程度での刈取」で生育本数及び生育高の抑制と在来草本の被度向上が確認された。
以上より、ウトナイ湖では、市民参加による駆除と機械力等による駆除を効果的に組み合わせながら、安全かつ継続的に対応していくプログラムの構築が可能であることが把握された。