| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-451 (Poster presentation)

沖縄島における外来ハブ類(タイワンハブとサキシマハブ)の効率的捕獲方法の検討

*寺田考紀(沖縄県衛生環境研究所), 松井創(沖縄県公衆衛生協会)

沖縄島には2種の外来毒ヘビが生息している。タイワンハブは名護市の一部とその周辺及び恩納村の一部に、国内外来種のサキシマハブは糸満市の一部に分布している。両種とも、分布域の拡大や密度増加が懸念されており、咬傷事故も発生していることから早急な駆除対策が必要である。沖縄県では平成25年度から駆除及び防除対策方法の確立を目指しモデル実験を開始する予定だ。モデル実験で採用する捕獲方法はより効率的であることが望ましいことから、今回これまでに得られた各トラップ(ベイト、三角壁、誘導網、刺し網の計4種)の捕獲率を比較した。さらにラインセンサスと同ルート上に設置したベイトトラップの捕獲数を比較し、直接捕獲の効率についても検討した。

各トラップの捕獲率を比較すると、タイワンハブはベイトトラップが最も効率良く、次いで三角壁トラップ、サキシマハブは誘導網トラップが最も効率良く、次いでベイトトラップであった。ラインセンサスとベイトトラップの比較実験では、タイワンハブはベイトトラップ、サキシマハブは直接捕獲の方が捕獲数が多く、トラップの比較と同様で種により効率的な捕獲方法が違うことが示唆された。特にサキシマハブでは直接捕獲の効率が良いと思われる。捕獲時の危険性や予算化の難しさなどの理由により従来からのハブ対策としてはあまり検討されなかったが、「買い上げ」することにより住民の士気向上が期待できることや、密度推定のための指標のひとつとなるなど利点も大きいと思われる。外来ハブ類のモデル実験においては、住民の理解と協力が得られるのであれば「買い上げ」もひとつの手法として採用し、その効率性について調査し検討していくべきと考える。


日本生態学会