| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(口頭発表) B1-12 (Oral presentation)

郵送アンケート調査における早期返送者と後期返送者の回答の違い‐元狩猟者への意識調査より‐

*桜井良(JSPS/横浜国立大学),上田剛平(兵庫県但馬県民局)

質問紙(アンケート)調査は、人々の意識等を把握するために最も使用される手法の一つで、自然環境保全の分野においても、多用されている。質問紙調査の中で最も多く実施されている郵送調査法の最大の課題は、回収率の低さである。それゆえに、調査結果と推定したい母集団との間に、未回答誤差が生じるリスクが指摘されている。未回答誤差を把握する手法の1つは、質問紙の返信期間による回答者の属性や意識の違いを分析することである。本研究では、2012年に全国で郵送調査法により実施した狩猟免許未更新者に対する質問紙調査のデータ(n=2,690)を分析することで、未回答者の特性を推定し、郵送調査の課題を明らかにした。返信期間に影響を与える要因について重回帰分析を行った結果、年齢、狩猟歴の属性要因で差は見られなかったが、免許の再取得への意欲がある人、生息状況調査に協力をしていなかった人、鳥獣害の減少により狩猟を辞めた人ほど、回答が有意に遅かった(p<0.05)。またカイ二乗検定の結果、免許の再取得への意欲については、早期回答者と後期回答者で回答に有意な違いがあることが分かった(p<0.05)。本調査から、回収率が低い質問紙調査においては、特定の回答者の回答を過大評価してしまう可能性があることが示された。


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