| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(口頭発表) C1-05 (Oral presentation)
樹木の成長量は一般に、種々の環境要因に応じて変動するが、これまでは主に種の平均的な応答の違いに着目した研究が多い。ところが近年では、種間差よりもむしろ個体による応答のばらつきの程度の方が群集動態には重要であるとする主張もみられる。しかし、個体間の成長のばらつきの違いを定量的に評価し、その程度を種間で比較した研究は限られる。そこで本研究では、個体間の成長のばらつきの違いを定量化し、その程度(種特性)を種間で比較するために、落葉広葉樹3種(ブナ、ミズナラ、イタヤカエデ)について成長錐をもとにした過去50年間の年輪解析を行い、幹直径成長量の年変動を解析し、幹直径成長の年変動と種特性を評価した。
その結果、イタヤカエデは種としての年変動のばらつきが大きく、一方でブナ・ミズナラではばらつきが小さくなったことから、種間で年変動のばらつき具合に違いがみられた。また、イタヤカエデでは年変動幅の幹間のばらつきが大きく、個体によって年変動幅の大きな個体と小さな個体が存在した。一方、ブナ・ミズナラでは、幹間のばらつき が比較的小さかった。このように、幹間の直径成長量の年変動幅の幹間のばらつきの程度が種間で異なることが明らかになった。