| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(口頭発表) C1-09 (Oral presentation)
東アジアの森林は、中国南部の熱帯林から、中国南部・日本の沖縄の亜熱帯林、そして温帯林に続く。温帯林は、暖温帯常緑広葉樹林、暖温帯落葉広葉樹林、典型温帯林、冷温帯林に区分される(Fujiwara et Harada 印刷中)。特に、温帯林は気候勾配と森林分布の特異性がアジアにおいて顕著である。本講演では、温帯林に焦点をあてる。温帯林と亜熱帯林は、0℃を境界として示すことが可能であるが、またSchimaを主とした森林構成木として持つ。さらに常緑広葉樹林の二次林として、暖常緑広葉樹林ではコナラなどの温帯落葉広葉樹林構成種を持つが、亜熱帯林では持たず、熱帯林の早期二次林構成種の属であるMalotus, Fagara, Trema他の種群で構成される。暖温帯常緑広葉樹林および落葉広葉樹林は、日本では吉良により寒さの指数10が暖温帯落葉広葉樹林と常緑広葉樹林の境界とした(吉良1949)。中国においてもおよそ一致をみることができる。さらに、酒井1978による耐凍度を参考にすると、アラカシ-15℃、シラカシ-17℃で常緑広葉樹林の分布におよそ一致し、コナラ・クヌギ・ナラガシワは-25から-30℃で暖温帯落葉広葉樹林域に、ブナは-25から-30℃、ミズナラ・イタヤカエデは-25から-35℃でさらに低く, また降水量が高い地域に分布する。ちなみにシラカバは-70℃が耐凍度で亜寒帯林まで分布可能である。さらに乾燥度がブナ類の分布を制限し、また乾燥に耐えられるナラ類が暖温帯林を構成する。中国では湿度係数40以上(Fan et Yoda 1990)で常緑広葉樹林とブナ林が分布する。温帯林中では、暖温帯林落葉広葉樹林域に、多くの特性がみられ、日本やイタリアにおける温暖化による照葉樹林化、中国では、DavidiaやPteroceltisなどの遺存植物や固有属の種の分布がみられる。